RAG

用語について解説します。

RAG(Retrieval-Augmented Generation)

RAGとは何か

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)とは、大規模言語モデル(LLM)の回答精度と信頼性を向上させるためのAI技術フレームワークです。簡単に言えば、AIが質問に答える際に、学習済みの知識だけでなく、外部の信頼できるデータベースや文書から必要な情報を検索して取得し、その情報を基により正確で最新の回答を生成する仕組みです。例えば、企業は技術マニュアルや社内規定などを「ナレッジベース」として活用し、カスタマーサポートや従業員研修等に活用できます。

なぜRAGが必要なのか

LLMの限界を克服

ChatGPTやClaudeなどの大規模言語モデルは、膨大なデータから学習して驚くほど自然な文章を生成できます。しかし、以下のような課題があります:

  1. 情報の鮮度: 学習データには締切日があり、最新情報を反映できない
  2. 正確性の問題: 答えがわからない時に、もっともらしい誤った情報を生成する(ハルシネーション)
  3. 専門性の欠如: 企業固有の情報や専門的な業務知識への対応が困難
  4. 信頼性の証明: 回答の根拠となる出典を示せない

RAGは、これらの課題を外部データベースとの連携によって解決します。

またRAGの主な利点として以下が挙げられています。

  1. コスト効率: モデルの再学習なしに新しい情報を活用可能
  2. 即時性: 最新情報への迅速な対応
  3. 信頼性: 情報源の明示による透明性の確保
  4. 制御性: 情報源の管理による品質コントロール

RAGの仕組み

RAGは大きく2つのステップで動作します。

1. 検索フェーズ

ユーザーからの質問を受け取ると、まずその質問を数値表現(ベクトル)に変換します。この数値表現を使って、関連する情報を外部のデータベースから検索します。検索対象となるデータは、企業の内部文書、最新のニュース記事、専門的なマニュアルなど、用途に応じて様々です。

2. 生成フェーズ

検索で取得した関連情報とユーザーの質問を組み合わせて、LLMに渡します。LLMは、自身の学習済み知識と検索で得た最新・専門的な情報の両方を活用して、より正確で信頼性の高い回答を生成します。重要なのは、回答に情報源を明記できることで、ユーザーは必要に応じて元の資料を確認できます。

ROUTE06におけるRAGの活用

ROUTE06は、AI駆動開発プラットフォームを通じて、企業のデジタル変革を支援しています。例えば、 Giselle(エージェントビルダー)ではRAGに対応する機能をリリースしています。Giselleは、複数のAIモデルと多様なデータソースを組み合わせてAIエージェントを構築するプラットフォームです。RAG技術により、GitHubのコード情報とAIを連携させ、コードから仕様を書き起こすなどの機能を実現しています。

まとめ

RAGは、AIの「知識」と「信頼性」の課題を同時に解決する画期的な技術です。ROUTE06は、この技術を活用して企業のAI導入における「正確性への不安」「最新情報への対応」「企業固有知識の活用」という課題を解決し、実用的なAIソリューションを提供しています。

AI時代において、単にAIを導入するだけでなく、いかに企業の知識資産と組み合わせて価値を生み出すかが重要です。RAGは、その実現を可能にする中核技術として、今後ますます重要性を増していくでしょう。

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