用語について解説します。
Agentic Workflow(エージェント型ワークフロー)
Agentic Workflowとは?
Agentic Workflow(エージェント型ワークフロー)とは、AIエージェントが主体的に判断し、タスクを実行する新しい業務プロセスの形態です。従来の自動化が「決められたルールに従って動く」ものだったのに対し、Agentic Workflowでは、AIが状況を理解し、最適な判断を下しながら、柔軟に業務を進めていきます。
例えば、顧客からの問い合わせ対応を考えてみましょう。従来の自動化では「Aという質問にはBと答える」という固定的な対応しかできませんでした。しかし、Agentic Workflowでは、AIエージェントが顧客の質問の文脈を理解し、過去の履歴を参照し、必要に応じて他のシステムと連携しながら、その場で最適な回答を生成できます。
従来の自動化との違い
1. 適応性の違い
従来のRPA(Robotic Process Automation)は、事前に定義されたルールに基づいて動作します。一方、Agentic Workflowは状況の変化に対して動的に対応できます。予期しない状況が発生しても、AIエージェントが判断して適切な行動を選択します。
2. 学習能力
Agentic Workflowの特徴は、経験から学習し、継続的に改善される点です。処理した案件から得られた知見を蓄積し、次回以降の処理に活かすことができます。
3. 協調性
複数のAIエージェントが連携して、より複雑な業務を遂行できます。例えば、受注処理において、在庫確認エージェント、価格算出エージェント、配送手配エージェントが協調して働くことで、エンドツーエンドの業務プロセスを実現します。
特徴 | 従来の自動化(RPA等) | Agentic Workflow |
---|---|---|
適応性 | 事前定義されたルールのみ | 状況に応じて柔軟に対応 |
学習能力 | なし(固定的) | 経験から継続的に学習・改善 |
判断力 | 単純な条件分岐 | 複雑な状況を理解し判断 |
協調性 | 単独動作が基本 | 複数のエージェントが連携 |
例外処理 | エラーで停止 | 代替案を自律的に検討 |
Agentic Workflowの主要な構成要素
AIエージェント
業務を実行する主体となる存在です。大規模言語モデル(LLM)を基盤として、自然言語での指示を理解し、判断を下し、行動を実行します。
ツール連携
AIエージェントは、データベース、API、既存システムなど、様々なツールと連携して業務を遂行します。この連携により、実際の業務環境で価値を発揮できます。
ワークフロー管理
複数のタスクの順序や依存関係を管理し、効率的な業務フローを実現します。状況に応じて処理の順序を変更したり、並列処理を行ったりすることも可能です。
企業における活用例
1. カスタマーサポート
お客様からの問い合わせに対して、AIエージェントが内容を理解し、適切な回答を提供します。複雑な問題の場合は、関連部署と連携したり、人間のオペレーターにエスカレーションしたりします。
2. 受発注業務
注文内容の確認、在庫チェック、価格計算、納期調整など、複数のステップを含む受発注プロセスをAIエージェントが自律的に処理します。イレギュラーな要求にも柔軟に対応できます。
3. データ分析とレポート作成
定期的なデータ収集、分析、レポート作成をAIエージェントが自動的に実行します。前回との差分や注目すべきポイントも自動的に抽出し、意思決定を支援します。
ROUTE06の取り組み
ROUTE06は、3つのAI駆動開発プラットフォームを活用しながら、Agentic Workflowの実装を積極的に推進しています。
Giselle(ジゼル)
Giselle(ジゼル)はAIエージェントをノーコードで構築できるプラットフォームです。専門的なプログラミング知識がなくても、ビジュアルエディタを使って複数のAIモデルやツールを組み合わせ、業務に特化したAIエージェントを作成できます。これにより、各企業の独自の業務フローに合わせたAgentic Workflowを実現します。
Acsim(アクシム)
Acsim(アクシム)では要件定義の段階からAIを活用し、業務フローの可視化と最適化を支援します。現状の業務プロセスを分析し、Agentic Workflowを導入することでどのような改善が期待できるかをシミュレーションできます。
Liam(リアム)
Liam(リアム)はデータベース設計をAIが支援するプラットフォームです。Agentic Workflowで扱うデータの構造を最適化し、AIエージェントが効率的にデータにアクセスできる環境を構築します。
導入のメリット
1. 業務効率の飛躍的向上
定型的な業務だけでなく、判断を伴う業務もAIエージェントが処理できるため、人間はより創造的で戦略的な業務に集中できます。
2. 24時間365日の稼働
AIエージェントは休憩を必要としないため、夜間や休日でも業務を継続できます。グローバルビジネスにおいても時差を気にすることなく対応可能です。
3. スケーラビリティ
業務量の増加に対して、AIエージェントを追加することで柔軟に対応できます。繁忙期の一時的な業務増加にも効率的に対処できます。
4. 品質の安定化
人為的ミスを削減し、一定の品質を保った業務遂行が可能になります。また、すべての処理履歴が記録されるため、監査やコンプライアンスの観点でも有利です。
今後の展望
Agentic Workflowは、企業のデジタル変革において重要な役割を果たすことが期待されています。AIの進化とともに、より高度な判断や創造的なタスクも実行できるようになるでしょう。
ROUTE06は、日本企業の実情に合わせたAgentic Workflowの実装を支援し、「構想で終わらないDX」の実現を目指しています。
Agentic Workflowは、単なる業務の自動化を超えて、AIと人間が協働する新しい働き方を実現する技術です。今後、多くの企業がこの技術を活用し、競争力を高めていくことが予想されます。
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